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いのちの遺伝子 (中部博) [ ナ行 (書籍)]

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いのちの遺伝子 北海道大学遺伝子治療2000日

  • 作者: 中部 博
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1998/07/06
  • メディア: 単行本
いのちの遺伝子 北海道大学遺伝子治療2000日 GENE THERAPY
:集英社:1998年7月11日第1刷発行:(¥1500)

 ADA(アデノシンデアミナーゼ)欠損症の子供を救う為、国内初めての遺伝子治療をスタートさせた北海道大学医学部小児科免疫チーム。
1991年12月24日、生後十ヶ月の男の子が母に抱かれ、北海道の小さな町の総合病院にやってきた所から、この本は時間を追って、子供がどうやって病気が判ったのか、どんな治療が行われたのかを記録している。
 更に、未だ禁断の技であった遺伝子治療を始める為に、小児科チームがどんな尽力をしたか、医師一人一人の行動も丁寧に書かれている。
免疫グループのチーフだった崎山幸雄医師が、どれだけ若い頃から頑張って来たか、また小児科教授・松本脩三は、どうして免疫学を始めたのか。
 この本は、重症複合免疫不全症(SCID)と闘った医師の記録なのだ。
日本初の治療であるから、闘う相手は病気だけでは無い。日本やアメリカとも渡り合っている。またマスコミも最初は全くの敵の様相だ。
 途中途中の苦難にハラハラしながらも、子供の治療は少しずつ進む。
風邪をひいただけで命が危なかった子供が、最初は隔離室に入っていたのが、後半では家族揃って自宅でお正月を迎えられるようになる。そして、自由に外出して他の子供達と遊べるようにもなった。
エピローグでは、1997年に、子供が小学校に入学したと書かれている。
途中の厳しさを知った後なので、それだけで目が潤んだ。
 これが書かれた当時、遺伝子治療で成功しているのはADA欠損症だけだった。
遺伝子治療と聞くと眉をひそめる人も居ると思うが、遺伝子を改造したりするのでは無く、足りない物を補う、臓器移植と同様の治療方法だ。
その事も、この本を読むとよく判る。
読み易く、解り易く、感動的だった。「遺伝子治療」が不穏なモノに思われる人に、是非呼んで貰いたい。

< 用語説明 >
先天性免疫不全症・・・生まれつき免疫機能が働かない病気。原因は、遺伝子に異常があるケースが殆ど。生後一年以内に発見される場合が多いので、小児科の病気。(11頁より)
重症複合免疫不全症(SCID(スキッド))・・・先天性免疫不全症にはおよそ六十種類の病気があるが、その中でも重症タイプのもの。いくつかの種類があるが、それをひとまとめにしてSCIDと呼ぶ。免疫機能が働かないので、病原菌に感染すると、たちまちのうちに悪化していく。予防接種ですら危険。例えばBCG注射を受けると、無毒なはずのBCG菌が発病し、肺炎になってしまう。(11~12頁より)
ADA(アデノシンデアミナーゼ)欠損症・・・免疫に重要な役割を持つADA酵素を作り出す為の遺伝子が、生まれつき正常でないので、SCIDになる遺伝病。適切な治療によって免疫の働きが再建されなければ、重症の感染症や癌などで、その殆どが一歳前後で死亡する。治療方法は現在、骨髄移植、酵素補充療法、遺伝子治療の三つしかない。(7頁より)
タグ:中部博
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