天国を出ていく 本の小べや2 （ファージョン作／石井桃子訳）

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天国を出ていく − 本の小べや〈2〉

• 作者: エレノア・ファージョン
• 出版社/メーカー: 岩波書店
• 発売日: 2001/06
• メディア: 単行本

さし絵　エドワード・アーティゾーニ：
岩波少年文庫083：2001年6月18日第1刷発行：（￥720）

ファージョンの短編集である原著を二分冊にした物の下巻。作品13編と訳者のことばを収録。
訳者のことばによると、これは７０歳過ぎたファージョンが、自選して編んだ作品集だそう。
どれもとても素晴らしい。今読んでも面白い、キラキラ輝くガラスのように綺麗な作品達。＜タイトルとメモ＞

「天国を出ていく」
　トロア・プティ・プランス
　ソルタン・デュ・パラディ
　ラ・ブゥシュ・ウーベルト
　ジュスカ・ドマン・ミディ。
　と言う、フランスの鬼きめ歌を物語にしたもの。天国に住む三人の王子クリスパン、テオドール、フェリックスと、お世話係のイヴォンヌ、そしてクラリネットのお話。
こんな不思議な物語になるなんて、すごい！

「小さいお嬢さまのバラ」
　谷間の村に住むジョンとメアリは、丘の上のお屋敷のお嬢様と親しくなる。
良かったねぇ。

「むかしむかし」
　何も無い所を守る番兵。州会議員がそれを怪しんだが、実は深いわけがあったのかもしれない。
ファージョンは、大きな蜃気楼のように、何も無い所にオアシスを生み出す。

「コマネラのロバ」
　七歳のダニー・オ・ツールは父の聞かせてくれた白いロバ、フィニガン・オ・フラナガンの話に夢中。
担任のデイリ先生は、ダニーの為に胸を痛める。
　これはまるで、ケストナーの児童文学のよう。しかし、目まで塗ったのか・・・？

「ティム一家」
　ティムじいさん、大きいティム、小さいティム、若いティム、赤んぼティム。彼らと村人のちょっとくすっとなる、優しい交流。
　奥さんは？奥さんは居ないの？赤ちゃんのお母さんは？

「十円ぶん」
　ジョニー・ムーンは学校帰りに拾った十円玉で、ホーゲート・ステーションで板チョコを買う冒険に出た。
　なんて素晴らしい旅行！

「《ねんねこはおどる》」　注：「こ」は拗音と同じサイズの小さい字
　110歳のひいばあちゃんと二人で暮らすグリゼルダ・カーフューは１０歳。グリゼルダと同い年のように、ひいばあちゃんはグリゼルダの好きな事が好きで、グリゼルダの人形アラベラを可愛がっていた。
　二人のグリゼルがいつまでも幸せでありますように！

「ボタンインコ」
学校の近くの角で、ジプシーのダイナばあさんが、ボタンインコがおみくじを選ぶ商売をしていた。反対側の角に座るスーザン・ブラウンは、九歳くらいの少女だが学校には行けず、子供達用の飴やビーズや風船などの細々した物を売っていた。

「サン・フェアリー・アン」
四年前、リトル・エグハム村に疎開してきた少女キャシー・グッドマン。村のお医者レイン先生の、フランス人の奥さんセレスティーン。いかにしてレイン先生のお人形セレスティーンが、キャシーのサン・フェアリー・アンになったのか、数奇な運命。そしてお人形はみんなに幸せをもたらす。
　鳥肌立った。涙も出た。幸せになって良かった。

「ガラスのクジャク」
アナ・マライアは、ロンドンのとても妙な、古い区の中でも、一番妙な古い横町に住んでいた。その笑顔で、誰からも愛され、期待される少女。たまたま手に入った、季節外れのクリスマスツリー、その美しいガラスのオーナメントを、彼女は惜しげもなくみんなに譲り渡す。
　なんて心の清らかな少女！

「しんせつな地主さん」
ごうつくばりの地主ロバート・チャードンが、一人娘のチイジェインを村中の子供にした話。
　ジェインは天使？

「「がみがみシアール」と少年」
羊飼いのダン・シアールは、子供達からがみがみシアールとはやし立てられ続け、すっかり子供が嫌いになっていた。一方、孤児のネッド・ジュエルは、羊が何よりも好きで羊飼いになりたかったが、シアールの手伝いはごめんだった。
　この二人を結びつけたものはなんなんだろう。ネッドを家まで送ったのは？

「パニュキス」
アンドレ・シュニエのパニュキスと言う文章と詩から始まる。そしてパニュキスとキュモンと言ういとこ同士の物語になる。
　切ない恋物語。これは子供向け？