キノの旅 （時雨沢恵一）

キノの旅　－the Beautiful World－

電撃文庫：2005年9月30日43版（2000年7月25日初版）：￥530

キノとエルメス、一人と一台の旅。訪れた町一つが一話（例外もあり）の短編連作になっている。

短編なので読み易い。心に少しずつ何かが澱として残るようなそんな話。

今巻には、「人の痛みが分かる国」「多数決の国」「レールの上の三人の男」「コロシアム」「大人の国」「平和な国」の六話と、「プロローグ 森の中で・b」「エピローグ 森の中で・a」が収録されている。

一番心に残っているのは、「コロシアム」での終わりの方の奥さんのセリフだ。「とても素晴らしい国でしたわ」と笑顔で言ったと言う所。何故と言う疑問と、答えを知りたくない思いでいっぱいになる。

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キノの旅―The beautiful world

• 作者: 時雨沢 恵一
• 出版社/メーカー: メディアワークス
• 発売日: 2000/07
• メディア: 文庫

＜登場人物メモ＞


キノ：主人公。黒髪で細身。自動式の「森の人」と単手動作式で「カノン」と名付けた二丁のハンド・パースエイダー（拳銃）を持ち、パースエイダー四段だそうだ。

エルメス：喋るモトラド（二輪車、空を飛ばない物だけを指す）。キノの旅の道連れ。

「人の痛みが分かる国」 I See You.

男：名前不明。

「多数決の国」 Ourselfish

男：名前不明。新政府になってから死刑が13064回だと、すぐ答えられるのは厭な感じ。

商人：カンガルーとパンダを連れて、キノに道を説明したらしい人。

「レールの上の三人の男」 On the Rails

男1：背が低く小さなグレーの瞳。ほとんど真っ白な髪を長くし髭もぼうぼう。黒い小さな帽子を被り、つぎはぎだらけの黒いシャツとズボンを着ている。鉄道会社に言われ50年レールを磨いている。国に妻と子が居る筈。

男2：痩せて禿げた、背の高い男。少し口ひげを生やし、帽子とつぎはきだらけの黒いシャツ、ズボンを着用。五人の弟を養う為、16歳の時から50年、レールを外し続け。

男3：筋肉もりもりの逞しい体に、裾がぼろぼろの黒いズボンを穿いている。両親が病気で働けない為、15歳の時から50年、レールを作り続けている。

「コロシアム」 Avengers

門番：若い兵士。横柄な奴。

国王：前国王の息子。7年前に父親を殺し、好き放題する国にしてしまった。

大男：キノの初回の相手。筋肉に頭をはめ込んだような男。半裸でスキンヘッド。太い鎖の先に子供くらいの大きさの鉄球が付いたのを武器にしている。

痩せた男：二回戦の相手。背が高く若い男で、紫色の髪をとさかのように立て、ぴっちりした黒い服を身につけている。

初老の男：三回戦の相手。背が低くがっしりして、茶色の髪と髭を長く伸ばし境不明。薄汚れてだぶだぶのローブを着て、金色のトロンボーンを持つ。

金髪の女：準決勝の相手。長髪を一つにまとめ、背が高くシャープな顔立ちの美人さん。アーミースタイルで、パースエイダーを武器にしている。ショタコンらしい。

シズ：決勝の相手。20代前半の青年で、黒髪、背は高く均整の取れた体つき。蒼いジーンズに、肩と肘に布当てのついたグリーンのセーターを着ている。武器は刀。砂漠用のバギーに乗り、陸と同道している。

陸：シズの犬。喋る。

「大人の国」 Natural Rights

xxxxx：この話の語り部。歌が巧い。

キノ：背が高く痩せた旅人。xxxxxが11歳の時に出会った。音痴。

xxxxxの父：安ホテルを経営している。

「平和な国」 Mother's Love

ヴェルデルヴァル：キノが訪れた国。隣国レルスミアと200年間戦争を続けていたが、15年前に「戦争」は止んだ。

歴史博物館館長：白髪の老婦人。

ソトス：館長の次男。狙撃され死亡。

ダトス：館長の三男。ソトスが死んだ翌日、地雷を踏んで死亡。

ウトス：館長の長男。仲間を助けようと前線に残り、味方の砲撃で死亡。

ヨトス：館長の末っ子。出兵して死んだ時9歳だった。

タタタ人：泥の家に住む原住民。文化が遅れていて武器が無い。